戦前の輪針に想いを重ねる
戦前の輪針 2号 65cm
戦前。着物、もんぺ、裸電球、薪、井戸、囲炉、長屋...
庶民の暮らしはそんな感じだったかなと思うのですが、そんな昭和初期の編みもの輪針。
厚紙とホチキス止め、カラー刷りのパッケージ。お洋服・髪型と洋風がかっていて、すごくお洒落なシロモノだったのだろう。MADE
IN NIPPON と書かれていて、じんとします。
今。時間は加速していて、その上、行動は制限され、あれこれ出来る時代ではないなか、このピンクのお洋服を着たお嬢様の時間は、ゆ~っくりと過ぎている気がして、眺めているとふくよかな時が重なります。
裏の説明書きがまた、美しい。筆文字の匂いも言葉も、優しくて美しい。はぁ~、日本文字と日本語のなんと魅力的なこと。昔の文字には時もゆったりと綴じ(閉じ)込められている。
わたしは、コロッちのお蔭で、「古くなっても、物は大切で、かんたんに捨ててよいものではない」と思うようになりました。
なにより、昔の日本や昔の日本人、本来の日本の精神や、日本人の知恵は、誇らしく美しいと再認識するようになりました。どう考えても、昔の人の方が賢いし、器用だし、なんといっても大人だと。コロ以前はそんな気がする...と思っていたのですが、今や確信。
編み物においても、もともと、海外・デジタルベースのRavelryには興味が持てず、昭和の編み物本(先達&紙&本)に惹かれる方のタイプでしたが、今は、もう一切の迷いなく、そこだけに惹かれます。
そんな中、ふと目にした、この「戦前のすずらん輪針」。
この針の持ち主だった方は、この65cmの輪針を使って、どんな糸で何を編まれていたのだろう。